自動車には皆さんが思っている以上にたくさんの繊維が使われています、分かりやすいところではカーシートや内装材ですが、それだけではありません。万が一のときに命を守るやシートベルトやその他安全に関わるパーツ、直接見ることの出来ない内部部分にいたるまで、繊維が使われています。

医療で使われる製品は、患者さんに直接触れるものが多いため、繊維自体が持つ柔軟や強度、だけではなく、患者さんに対する安全性が求められます。そのような中で繊維は、手術用の縫合糸、ドレープ(手術時などにおいて患者さんの体を覆うカバー)やガーゼ、更には人口血管や人工関節など、年々繊維が使われる範囲は広くなっています。

宇宙産業でも繊維が使われている事を皆さんご存知でしょうか？衛星放送やカーナビ、航空機内でのWi-Fi利用などに欠かせない人工衛星のアンテナ部分には金属繊維が使われています。金属繊維を網状にすることで透けるほどの薄さでありながら破れづらい素材を製作することに成功しています。

スマートフォンやタブレットなどのハイテク関連にも繊維は使われています、導電糸が使われた手袋は、手袋のままでスマートフォンの操作が可能です。また、大型のタブレットには欠かせないタッチペン。このペン先にも繊維が使われており、ゴム製のものより耐久性や滑りのよさで勝ります。

繊維と聞いてイメージしやすいのがアパレル関係でしょう。和服や洋服はもちろん、靴下、バッグ、ネクタイ、ショールなど、多数のアイテムに繊維は使われています。糸の種類や撚り方、織り方、デザインの組み合わせで常に新しい商品を生み出してきました。繊維の進化によって無限の可能性を持つ産業ともいえるでしょう。

以前は綿100%が主流のスポーツウェアでしたが機能性を高めるために多くの繊維素材が使われ、年々進化しています。求められる機能としては汗をすばやく吸収し、着心地を保つ吸汗性や吸収した汗等を発散させて蒸れを防ぐ透湿性。さらに、激しい運動に耐えるためのストレッチ性、水分をはじく撥水性などがあります。

自衛隊が使用している迷彩服でも繊維は活躍しています。耐火性を持たせることで、迷彩服に火が燃え移っても一気に燃え広がることのないようにして、迷彩服を脱ぐ時間を稼ぐことが出来ます。また、赤外線による探知を難しくするための加工にも繊維産業の最先端技術が使われています。